新卒採用② 新卒衛生士を雇うメリットと注意点

前回は、新卒衛生士とはどのような存在かという基礎知識を整理しました。今回は、実際に新卒衛生士を採用することの具体的なメリットと、事前に知っておきたい注意点について解説します。「うちの医院には新卒採用が向いているのか」を判断する材料として、参考にしてください。

新卒採用のメリット
メリット1:医院の方針・診療スタイルに合わせて育成できる
中途採用の場合、これまで勤めていた医院での経験ややり方が、良くも悪くも染み付いていることがあります。新卒衛生士は実務経験がない分、自院の診療方針やスタッフとの関わり方を一から伝えられるという利点があります。「うちのやり方」を素直に吸収してもらいやすいのは、新卒採用ならではのメリットです。
メリット2:長期的な定着が期待しやすい
新卒で入職したスタッフは、その医院が「社会人としての最初の職場」になります。最初の職場で得た経験や人間関係は、その後のキャリア観にも影響しやすく、育成に力を入れた医院ほど、長期的な定着につながりやすい傾向があります。
メリット3:養成校との関係が中長期的な採用力になる
新卒採用に継続的に取り組むことで、養成校の就職担当者や教員との関係が育ちます。一度きりの採用活動で終わらせず、毎年の関係として積み重ねていくことで、「この医院はいい医院だ」という評判が学校内で共有され、次年度以降の採用活動がスムーズになるという好循環も期待できます。
メリット4:中途採用とは違う競争環境で人材に出会える
中途採用市場では、条件の良さで比較されがちですが、新卒採用は養成校を経由した接点づくりが中心になるため、必ずしも条件面だけで勝負が決まるわけではありません。丁寧な関係づくりや医院の魅力の伝え方次第で、条件面の競争とは違う土俵で人材に出会える可能性があります。
新卒採用の注意点
注意点1:即戦力ではないことを前提にする
新卒衛生士は、国家試験に合格したばかりの状態で入職します。臨床実習の経験はあっても、実際の診療現場で一人ひとりの患者に対応するのはこれからです。中途採用のような即戦力を期待してしまうと、双方にとってミスマッチになりかねません。入職後しばらくは教育期間と捉える心づもりが必要です。
注意点2:教育にかかる時間とコストを見込む
新卒衛生士を一人前に育てるには、研修プログラムやOJTの設計、指導役となるスタッフの確保など、相応の時間とコストがかかります。教育担当のスタッフの業務負担が増えることも踏まえて、院内の体制を事前に整えておく必要があります。
注意点3:内定から入職までの期間が長い
新卒採用は、内定を出してから実際に入職するまでの期間が長くなりがちです。内定してから半年以上先の入職になることも珍しくなく、その間に他院からのアプローチや、国家試験への不安などから、内定辞退が起こるリスクもあります。このフォローについては、シリーズの後半で詳しく取り上げます。
注意点4:複数の医院・複数の養成校との競合がある
人気のある養成校ほど、多くの医院が求人を出しており、学生も複数の医院を比較検討します。他院にはない自院の魅力をどう伝えるかは、新卒採用における重要な課題の一つです。
メリットと注意点を踏まえた向き合い方
新卒採用は、メリットだけを見れば魅力的に映りますが、注意点を理解しないまま始めてしまうと、教育担当者の疲弊や早期離職につながりかねません。逆に、注意点を正しく理解したうえで臨めば、多くはあらかじめ対策を講じられるものでもあります。たとえば、即戦力ではないという注意点は、事前に教育スケジュールを組んでおくことで、現場の混乱を減らせます。内定から入職までの期間が長いという注意点も、後の回で解説するフォロー体制を整えておくことで、リスクを下げることができます。
自院にとってのメリット・注意点を整理してみる
実際に新卒採用を検討する際は、ここで挙げたメリット・注意点のうち、自院にとって特に重要なものはどれか、逆に負担が大きそうなものはどれかを、院内で一度整理してみることをおすすめします。スタッフの人数や、教育に割ける時間、経営上の余力によって、新卒採用との相性は医院ごとに異なります。
まとめ
新卒衛生士の採用には、医院の色に合わせて育成できる、長期定着が期待できるといったメリットがある一方、即戦力ではないことや教育コスト、内定から入職までの期間の長さといった注意点もあります。次回は、この特有のスケジュール感を踏まえて「新卒採用はいつから動くべきか」を具体的に解説します。
新卒衛生士採用シリーズ(全8回)
- 新卒衛生士とは?基礎知識と採用市場での位置づけ
- 新卒衛生士を雇うメリットと注意点
- 新卒採用はいつから動くべき?年間スケジュールの考え方
- 新卒衛生士を雇う準備|求人・院内体制・教育の3つの軸
- 養成校との関係づくり、何から始める?
- 内定辞退を防ぐ、内定後のフォローの仕方
- 新卒衛生士の教育体制、プリセプター制度とは
- 新卒か中途か、自院に合った採用バランスの考え方
