新卒採用⑦ 新卒衛生士の教育体制、プリセプター制度とは

新卒衛生士の教育において、近年注目されているのが「プリセプター制度」です。今回は、この制度の考え方と、歯科医院での導入イメージについて解説します。
プリセプター制度とは
プリセプター制度とは、新人一人に対して先輩スタッフ一人が専任の指導役としてつき、一定期間、マンツーマンで指導・サポートする仕組みです。もともとは看護分野で広く導入されてきた考え方ですが、歯科衛生士の教育にも取り入れる医院が増えています。特定の先輩が継続的に関わることで、新卒スタッフが安心して質問・相談できる関係を築きやすくなる点が特徴です。
プリセプター制度が必要とされる理由

新卒スタッフの早期離職の理由として、「分からないことを誰に聞けばいいか分からない」「なんとなく孤立してしまった」という声が挙げられることがあります。指導役が特定の先輩に固定されていないと、新卒スタッフは毎回違うスタッフに気を遣いながら質問することになり、結果として聞きづらさを感じてしまうことがあります。プリセプター制度は、こうした心理的なハードルを下げる仕組みとして機能します。
歯科医院でのプリセプター制度の作り方
プリセプターの選定
必ずしもベテランスタッフである必要はありません。むしろ、入職から数年程度で、新卒時代の悩みを比較的新しい記憶として持っているスタッフの方が、新卒スタッフの気持ちに寄り添いやすい場合もあります。院内のスタッフ構成を踏まえて、適任者を検討しましょう。
指導期間の目安を決める
プリセプター制度は、入職から半年〜1年程度を目安に設定する医院が多く見られます。期間を明確にしておくことで、プリセプター自身の負担の見通しも立てやすくなります。
定期的な振り返りの場を設ける
プリセプターと新卒スタッフの間で、週に一度、あるいは月に一度など、定期的に振り返りの時間を設けることをおすすめします。日々の業務の中では聞きづらいことも、あらかじめ時間を確保しておくことで話しやすくなります。
プリセプター自身のフォローも忘れずに
指導役となるスタッフにも、相応の負担がかかります。院長や他のベテランスタッフが、プリセプター自身の相談に乗る体制も、あわせて整えておくとよいでしょう。プリセプター一人に責任を負わせすぎないことが、制度を長く機能させるポイントです。
小規模な医院での導入イメージ
プリセプター制度と聞くと、大きな組織向けの仕組みという印象を持たれるかもしれませんが、小規模な歯科医院でも、「新人一人に対して、質問の窓口となる先輩を一人決めておく」という形であれば、無理なく導入できます。厳密な制度として整えることよりも、新卒スタッフが安心して相談できる相手を明確にしておくという考え方そのものが重要です。
プリセプター制度以外の教育の工夫
プリセプター制度を軸にしつつ、院内全体で新卒スタッフを支える雰囲気づくりも大切です。たとえば、月に一度、院長も交えた全体ミーティングで新卒スタッフの成長を共有する場を設けたり、業務チェックリストを用意して習得状況を可視化したりすることで、プリセプター一人に負担が集中しすぎない体制を作ることができます。
教育体制は完成形を目指さなくてよい
最初から完璧な教育体制を用意しようとすると、着手そのものが遅れてしまいます。実際に新卒スタッフを受け入れながら、うまくいかなかった点を翌年に見直していくという姿勢で、少しずつ体制を育てていくのが現実的です。
プリセプター制度を機能させるための院長の役割
プリセプター制度は、現場の先輩スタッフに任せきりにしてしまうと、うまく機能しないことがあります。院長は直接の指導役でなくとも、プリセプターと新卒スタッフ双方の様子を定期的に気にかけ、必要に応じて声をかけることが大切です。「教育は現場任せ」ではなく、院長自身も関心を持ち続けている姿勢が伝わることで、プリセプターの安心感にもつながります。
うまくいかないときの見直し方
プリセプターと新卒スタッフの相性がうまく合わないと感じた場合は、無理に同じ組み合わせを継続するのではなく、担当を見直すことも検討しましょう。プリセプター制度は、特定の組み合わせに固執するための仕組みではなく、新卒スタッフが安心して相談できる関係を作るための手段であることを忘れないようにしたいところです。
まとめ
プリセプター制度は、新卒衛生士が安心して成長できる環境をつくるための有効な仕組みです。指導役を固定し、定期的な振り返りの機会を設けることで、早期離職のリスクを減らすことにもつながります。次回は、このシリーズの総括として、新卒採用と中途採用のバランスをどう考えるかについて解説します。
新卒衛生士採用シリーズ(全8回)
- 新卒衛生士とは?基礎知識と採用市場での位置づけ
- 新卒衛生士を雇うメリットと注意点
- 新卒採用はいつから動くべき?年間スケジュールの考え方
- 新卒衛生士を雇う準備|求人・院内体制・教育の3つの軸
- 養成校との関係づくり、何から始める?
- 内定辞退を防ぐ、内定後のフォローの仕方
- 新卒衛生士の教育体制、プリセプター制度とは
- 新卒か中途か、自院に合った採用バランスの考え方
